薬を飲むことで一時的に症状を抑えることは可能ですが、根本的な改善とはなりません。
片頭痛ってどんな頭痛?
片頭痛は片側あるいは両側のこめかみ部分から目のあたりにかけて脈を打つようにズキズキと痛むのが特徴です。
片頭痛が起きる頻度は月に1〜2回程度のものから、多い場合では週に1〜2回あることもあります。
痛みが起こっている間は動くと症状が悪化するため、じっとしているのが一番楽であることも偏頭痛の特徴のひとつです。
中には片頭痛が起こる前に前兆が現れる場合があり、
・目の前がチカチカする、視野の中心が見えづらくなる閃輝暗点
・感覚異常
・言葉が出にくくなる
このような症状が出現し、前兆が現れてから30分ほどで片頭痛の症状が始まることが多いです。
三叉神経が刺激されることによる偏頭痛
三叉神経は顔の感覚を脳に伝える神経で、脳から出て目、上顎、下顎と3つに分かれて伸びています。
すると、さらに血管が拡張し、ますます周りの三叉神経が刺激されます。
この刺激が大脳に伝わり、痛みとして認識されることによってが片頭痛が起こるのです。
ストレスが原因の偏頭痛
特にプレッシャーのかかる仕事や、長時間の仕事の後などで、精神的・肉体的ストレスから解放されるときに偏頭痛が起こりやすいことがわかっています。
集中と緊張を強いられるような仕事や作業の時は、交感神経の作用で血管が収縮して、血管や筋肉が緊張している状態になっています。
ですが、仕事や作業が終わり緊張から解放されると収縮していた血管が拡張し、その結果先程の三叉神経を刺激し、偏頭痛が出てしまうという事です。
まとめるとこの原因の場合にはストレスによって交感神経が過剰に緊張していることが問題となります。
このような状態に体が陥ってしまうということ自体が自律神経の乱れが起こっているということになります。
月経に関連した偏頭痛
このタイプの頭痛には女性ホルモンであるエストロゲンの急激な変動が影響していると言われています。
ほかの時期の偏頭痛に比べて、痛みが強い、持続時間が長い、再発しやすいといった特徴があり、市販の鎮痛薬では十分に効かないことも多いようです。
また、月経に伴って毎月起こる可能性があるので、その時期が来るのを恐れるようになり、偏頭痛がない期間も不安な気分で過ごすことになりがちです。
効果が不十分なのに発作の偏頭痛治療薬である市販の鎮痛薬を服用していると、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)に陥ってしまう可能性があります。
早めに医師に相談しましょう。
体重に関連して起こる偏頭痛
BMIが30を超える場合は通常の体重を維持している人よりも、偏頭痛になるリスクが27%高いという研究結果に基づくものですが、その中でも女性に多いということもこの研究で明らかになっています。
極端に体重の少ない人も同じように偏頭痛を起こしやすいです。
一見関係はなさそうですが、体重が原因となることもあるという事を知っておいてください。
環境ストレスによる偏頭痛
気温が変化することや人が多い電車に乗ることで交感神経や副交感神経の働きが活発になり、血管の収縮・拡張が起こることが偏頭痛の原因となります。
まとめるとこの原因の場合にはストレスによって交感神経が過剰に緊張していることが問題となります。
このような状態に体が陥ってしまうということ自体が自律神経の乱れが起こっているということになります。
低気圧による偏頭痛
天気が悪くなる前や実際に天気が悪い時など低気圧の時に頭痛が起こるという方は多いのではないでしょうか?
低気圧の時に偏頭痛が起こるのには大きく2つのことが影響しています。
1・血管の膨張
低気圧になって体にかかる圧力が下がると押さえつけられるものがなくなり、血管は膨張します。
血管が膨張すると先ほどご紹介した脳の大きな神経「三叉神経」にあたり、刺激を与えてしまいます。
これが片頭痛の原因となります。
2・血行不良になる
気圧が下がり、血管が膨張すると生理学的に血圧も減少します。
血圧が低いという事は、血液を押し出す力が低くなり、体に充分な血液が循環しなくなります。
血行不良が肩こりになって、結果的に頭痛も起こるという話は聞いたことがあるのではないでしょうか?
低気圧になる事でその状況を作り、偏頭痛の原因となっている場合があります。
偏頭痛を引き起こす食べ物
一時的に血管を収縮させると体はビックリして元に戻そうとしますよね?
その結果、血管が拡張しすぎて偏頭痛を誘発してしまいます。
植物油の取りすぎも要注意です。
体には必要なものなのですが、体内で酸化すると「過酸化脂質」という厄介なものを生み出します。
これが活性酸素を発生させ、血管神経周辺が炎症を起こして、偏頭痛を引き起こしていきます。
マーガリンやショートニングといったトランス脂肪酸を多く含むものや、インスタントラーメン・スナック菓子など油で揚げてから時間の経ったものも「過酸化脂質」が発生しやすい状態なのでお気をつけください。
コーヒーの飲み過ぎも偏頭痛を引き起こす
これはコーヒーに含まれているカフェインの影響で起こるとされています。
一般的にはコーヒーは偏頭痛が起きた時に摂取すると痛みを軽減させる効果があるとされています。
これはカフェインに血管収縮作用があるためとされています。
しかし、このカフェインの効果が切れた際には反対に血管は一気に拡張することとなります。
これが偏頭痛を誘発する原因となるのです。
他にもカフェインは緑茶やエナジードリンクにも含まれています。
偏頭痛持ちの方は注意をしてください。
心配な場合には病院を受診しましょう
偏頭痛は痛みがあるからといって、それを放っておいて何か病気になるなどそのような事には直接的に繋がることはあまりありません。
しかし、痛みが出ているという事は体からの何かのSOSのサインである場合もあります。
実際に実は偏頭痛ではなく治療が必要な病気の症状であった場合や、痛みが原因で塞ぎ込み、うつ状態になる方もいらっしゃいます。
最近では頭痛外来といって、頭痛専門の科を設けている病院があります。
日常生活に支障をきたすほどの頭痛があるという場合には、一度このような病院を受診してみましょう。
偏頭痛が起こってしまったら
原因が分かっても片頭痛はなかなかすぐには治りません。
もしも偏頭痛が起こってしまった場合には
・暗くて静かな部屋で休む。
・痛みが出ている場所を冷やす。
・痛みが出ている部分を押さえる。
・市販の鎮痛薬を飲んでみる。(市販で効かない場合には病院で処方してもらう。)
・カフェインの入った飲み物を飲む。(飲み過ぎは片頭痛を誘発します。)
このような方法で痛みを軽減させることが可能です。
偏頭痛の場合には血管が拡張する事で頭痛が起こるので、血管を収縮させてあげる事で症状を抑える効果が期待できます。
予防法もある!
対処法をご紹介しましたが、出来れば偏頭痛が起こらない方が良いですよね。
そのような方のために予防法もご紹介します。
◯肩こりとストレス解消
ストレスを解消するための適度な運動や趣味をする時間を持つことは偏頭痛の予防に非常に効果的であるとされています。
朝5分だけ早起きして体操をしてみる・忙しい1日の中でも夜眠る前に少しの自分の時間を持つようにするなどの工夫をしてみましょう。
◯病院での予防療法
日本頭痛学会の慢性頭痛診療ガイドラインによると、
・月に2回以上の頭痛の発作がある
・一度の発作であっても日常生活への支障が著しい
・鎮痛薬の服用回数が増えてきている
このような場合に病院で予防療法が行われることがあります。
予防療法は予防薬を使用して行われ、使い続けることで頭痛の回数や痛みの程度を軽減させる効果が期待されます。
この治療法は急に効果が出るものではないので、最低でも3〜6ヶ月は継続して薬を服用することが必要となります。
◯自律神経を整える
自律神経を整えるために重要なことは生活習慣を整えることです。
偏頭痛に悩んでいる方で生活習慣が乱れているという方は非常に多いです。
簡単なことですが、意外と出来ていない事も多いものです。
偏頭痛に悩んでいる方は一度見直してみてはいかがでしょうか。
まとめ
同じ偏頭痛の症状でも原因は様々あり、それが複合して起こっているという場合も多くあります。
どうして頭痛が起こっているのか分からない、何とかして偏頭痛を克服したいという方は一度当院までご相談くださいね。