肩こりの原因と治療法について

「肩こりの原因って何?治療は出来るの?」
「いろいろなところに通ったが、肩こりの原因が何なのか結局分からない。」
「肩こりの治療とマッサージ、何が違うのか知りたい。」

肩こりは年齢・性別を問わず、日本人には非常に多い症状です。
ですが、西洋医学の医学書などでは病気として取り扱われることは少なく、東洋医学の方が肩こりに対する研究は進んでいるとされています。
これには肩こりは自覚症状はあるものの、西洋医学で診断に使用される画像などで異常が見られないということが関係しています。
皆さんの中にも何とかしたいけど、病院に行っても何が悪いか分からないし、どうしたらいいのか分からないという方が多いのではないでしょうか?
そんな肩こりの症状ですが、この記事では肩こりの原因としていま考えられていることやその治療法についてご紹介します。
肩こりにお悩みの方の参考となれば幸いです。

肩こりの原因は・・?

肩こりの原因は大きく4つに分類されます。

1・”整形外科的疾患”が原因の肩こり

・頸椎椎間板ヘルニア

頸椎にある椎間板と呼ばれるクッションが後方へ突出し、血管や神経を圧迫した状態。
この圧迫が血行不良をもたらし、肩こりの原因となります。
リハビリなどの保存療法が行われますが、重度になると手術が必要な場合もあります。

・頚椎症

頸椎の変性によって起こるものです。
変性は加齢に伴って起こり、肩こり以外に頚部の痛みを伴う場合も多いとされています。
こちらも重度になれば手術が行われますが、基本的には保存療法で様子をみます。

・五十肩

正式名称は肩関節周囲炎という名前です。
中年以降に発生することからこのような名前が付いており、はっきりとした原因は分かっていません。
肩の可動域制限が出るため、そこから肩こりの症状を引き起こす場合があります。

・頸肩腕症候群

病院へ行って、上記のような明らかな疾患が見当たらなかった場合に付けられる診断名です。
首から肩の痛み、上肢のしびれなどを伴う場合があります。
治療としては対症療法で、その時出ている症状に対しての治療が行われます。

2・”その他の疾患”が原因の肩こり

・高血圧
・狭心症
・心筋梗塞
・眼精疲労
・風邪
・咬合不全

上記のような疾患が原因となっている肩こりの場合、肩こり以外の症状も併発している可能性があります。
画像検査などで異常が見つかるという場合も少なくありません。

3・”原因不明”の肩こり

原因が分からない肩こりは
・ストレス
・眼精疲労
・姿勢不良
・運動不足

が関係していると考えられます。
クーラーによる冷えすぎや猫背、長時間の座り仕事などもここに含まれます。
検査を行なってもはっきりとした画像所見などが見られないだけでなく、いくつかの要因が重なって症状を引き起こしている場合もあります。

4・”骨の歪み”が原因の肩こり

当院の患者さんにも
「骨が歪んでいるから肩こりが治らないのかな?」
とお悩みの方が多く来院されます。
実際に日常生活の姿勢やクセが原因となって肩こりが起こる場合があります。
骨の歪みに関しては整体やカイロプラティックで診てもらえるので、心当たりのある方は足を運んでみてください。

大きく分けると上記のような4つが肩こりの原因と考えられています。
それぞれの原因によって治療法も変わってきますので、「いいよと聞いたから・・」という理由で治療を行ってもなかなか良くならない、ということになってしまいます。
まずはご自身の肩こりの原因を知ってからご自身に合う治療法を探してみてください。

肩こりの治療の基本

先ほどご紹介しました肩こりのどの原因の場合でも、病院で行われる肩こりの治療の基本は”薬物療法”となる場合が多いです。
薬物療法は原因を根本から取り除くよりも今出ている症状を改善させるという「対症療法」となります。
薬物療法にも種類がありますので、以下にご紹介していきます。

・内服薬

内服薬は俗にいう飲み薬です。
その中でも種類があり、
鎮痛薬:炎症を抑える効果
筋弛緩薬:筋肉の緊張を緩める効果
ビタミン剤:神経疲労の回復を促す効果
漢方薬:痛みを軽減させる効果
などがあります。
これらの薬をひとつで使用したり、併用しながら治療を行っていきます。

・外用薬

外用薬には鎮痛成分を配合した湿布やローション・ゲルなどがあります。
湿布は肌に直接長時間貼るため、かぶれたりする場合もありますが、効果の持続時間は長いという特徴があります。
反対にローションやゲルはかぶれにくいですが、効果の持続時間は湿布に比べると劣ります。
ご自身の症状や状態に合わせて使用するようにしてください。

・注射

注射は痛み止めの成分を筋肉に打つ筋肉注射と痛みの元となる神経に注射を行う神経ブロック注射の2種類があります。
注射の種類は原則、医師が決定しますが、希望があれば相談してみましょう。

肩こりの原因の根本治療はできる?

先ほど薬物療法についてご紹介しましたが、これは今出ている症状を緩和させるための対症療法であって、根本の治療にはなりません。
では根本から良くしたい場合はどうするの?というお話をしていきます。

①原因疾患を取り除く

始めにご紹介したような整形外科的な疾患や、そのほかの部位の疾患が肩こりの原因となっている場合にはその治療を行うことが肩こりの治療に直結します。
ですが、ご紹介した疾患の中には根治に時間のかかる疾患もありますので、他の方法も併せて行いながらうまく付き合っていくということも必要になってきます

②日常生活を変えてみる

原因が分からない肩こりの場合、日常生活に根本の原因が潜んでいる場合があります。
治療というには少し違いますが、むしろ、ここを変えなえればいくら何を行っても無駄な場合すらあるほどに大切なことです。
具体的に何を変えるかというと、
同じ姿勢を続けない
これが一番大切です。
同じ姿勢を続けることで姿勢不良や血行不良を招くこととなり、ここから体の調子は崩れていきます。
大げさに聞こえるかも知れませんが、ここを気をつけることで解消する症状はたくさんあります。
もちろん運動などを行うことが出来れば良いですが、分かっていてもなかなかできない・・という方も多いかと思います。
そのような時には同じ姿勢を続けない、まずはこれだけを意識してみてください。

肩こり治療・・対症療法の注意点!

実は、肩こりの治療を行なっていく上で注意して頂きたいのは
「治療のゴールをどこにするか」
という点なのです。
例えば、
・今出ている肩こりの症状のみ取れれば良い。
・今出ている肩こりの症状がもう出ないようにしていきたい。
この2つでは治療を行う方法や期間が大きく異なってきます。
今だけ取れれば良い、という事であれば誰でも簡単に行うことが出来るマッサージなどで簡単に解消することが出来るのです。
これが「対症療法」に当たります。
ただし、そのような治療をいくら続けても根本的な解消にはならず、いつまで経ってもマッサージやその場しのぎの治療を繰り返す・・ということになってしまうのです。
肩こりの症状が今後も出ないようにしていきたいという方は対症療法ではなく、根本的に肩こりの原因を取り除く治療が必要となってきます。
そして、ここから先が特に知っておいて頂きたいことです。
肩こりは長年放置していると内臓の不調や自律神経の機能にも支障を来たす可能性があるのです。
イライラして眠れない・だるくてやる気が出ない・気分が悪くなる等
肩こりに悩まされているという方であれば経験があるのではないでしょうか?
たかが肩こりと思ってきちんとした原因を知らずに治療を行わずに放置していると悪化し、他の不調を招く事があるのです。
ここまで来ると、肩こりの原因の他にも様々な事が複雑に関係してくるので、本来の不調の原因がますます分からなくなってしまいます。
今だけ楽になればいいや!とお考えの方はこのようなこともきちんと知っておいて下さい。

まとめ

病院ではレントゲンやMRIで異常がなければ肩こりの原因は分かりません。
ですが、原因の分からない肩こりもたくさんあり、治療法も無いわけではありません。
ここでご紹介しましたように原因不明の場合でも日常生活を変えることで改善される肩こりも多々あります。
肩こりは単にマッサージを繰り返していても決して良くなりません。
良いと聞いたから・・と何となくやってみるのではなく、まずはきちんと原因を知った上で治療を行ってみると良いでしょう。
肩こりの治療は一時的に症状が緩和したところで終わると再発します。
ゴールは肩こりが起こらない体にすることです。
そのことを知った上で肩こりの原因を知り、治療を行うようにしていきましょう。