肘部管症候群ってどのようなもの?

「肘部管症候群で四六時中、痺れがあって辛い。」
「どうすれば早く治る?」
「肘部管症候群が何なのか、いまいちよく分からない。」

机や何かの角に肘をぶつけて、指までジーンと痛みが走った経験はありませんか?
肘部管症候群を発症するとあの状態がずっと続いている感覚になります。
この記事では肘部管症候群についてどのような状態になると発症するのかということや、治療法、日常生活での注意点などをご紹介していきます。
病院で肘部管症候群と言われたり、もしかして肘部管症候群かな?とお悩みの方の参考になれば幸いです。

肘部管症候群とは…

肘部管症候群とは、尺骨神経の圧迫によって起こる症状です。
尺骨神経は肘の内側の少し出っ張っている骨の近くを通っています。
ここは主な末梢神経の中でも皮膚の表面に近いために神経が障害を受けやすい場所とされています。
原因としては使いすぎ外傷によるもの、先天的な肘の変形ガングリオン筋肉による圧迫などが考えられます。
起こしやすい方としては、力仕事をしている方や関節の変形があるという方に多いと考えられています。

肘部管症候群の症状

症状は圧迫を受けている尺骨神経の領域に起こります。
尺骨神経の支配領域は小指と薬指(小指側の半分)、前腕の小指側の感覚を支配しています。
よって、初期では小指と薬指(小指側の半分)、小指側の手の平のしびれが起こります。
進行すると感覚麻痺が起こり、触られている感覚が分かりにくくなったり、温度を感じにくくなります。
さらに進行すると神経障害が出現し、思うように指を動かすことが出来なくなります。
この状態になるとお箸がうまく使えない、ペンが持ちづらいといった日常生活への支障も大きくなってきます。

診断方法

肘部管症候群を疑った場合には整形外科を受診して診察をしてもらいましょう。
具体的な検査としては、

・知覚検査

①    Tinel(チネル)徴候
肘の内側にあるくぼみの部分(肘部管)を軽く叩くと神経の支配領域に神経症状が出現します。
②   触診
触診によって手指や手のひらの感覚異常がないか。

・理学検査

いわゆる画像検査です。
レントゲンやMRIなどの画像を用いて頚椎や肘関節、肘部管の状態を把握します。
レントゲンとMRIの両方が診断に使用され、患部の状態を把握するために役立てられます。

・神経伝達速度検査(誘発筋電図)

確定診断を行う際に行われる検査です。
検査を行う筋肉の健側と患側それぞれに針を刺して電気を流します。
それによって筋肉に電気を流した際に正常に筋収縮が起こるのか、また、伝達速度に異常がないかを確認し、肘部管における尺骨神経の圧迫の有無を検査します。

治療法は?

肘部管症候群の治療ではまずは保存療法が行われることが多いです。
保存療法ではサポーターや薬を用いて症状の緩和を試みます。
サポーターは肘部の安静を保つために使用されます。
軽く固定するものからがっちり固定するものまで様々な種類の物がありますので、症状に合わせて使いましょう。
薬は鎮痛作用のある内服薬や塗り薬、シップなどが処方されます。
また、神経の症状を緩和させる効果のあるビタミンB12が処方される場合もあります。
それでも良くならない場合などには手術が検討されます。
手術に関しては次項で詳しくご説明します。

それでもダメな時は・・

保存療法を行っても改善が見られない場合や明らかな感覚障害握力の低下などが認められた場合には手術が適応されます。
骨折・脱臼などの外傷や神経損傷によって神経に対する処置が必要な場合にも手術が行われる場合があります。
手術は「肘部管開放術」が行われます。
この手術では圧迫を受けている尺骨神経を開放するために尺骨神経の近くにある組織を取り除いたり、必要があれば神経の移行を行います。
通常の手術で済むという場合であれば内視鏡を用いて20〜30分程度で手術は終了します。
ですが、患部の状態によっては骨を削らなければいけない場合もあります。
症状が重たくなってからの手術は体への負担も大きく、手術時間、術後の回復ともに時間を要します。
出来るだけ早い段階で治療を始めるようにしましょう。

肘部管症候群かな?と思ったら

最近何となく小指の辺りがしびれているかな・・と思ってこの記事を読んでいただいている方もいらっしゃるかと思います。
ここではご自身でも出来る簡単な検査をご紹介します。
まずは両手の親指と人差し指を使い、紙をピンと張ってつまむように持ちます。
それを両側へ引っ張った際に患側の親指が曲がってしまうようであれば肘部管症候群の可能性があります。
これは尺骨神経がうまく働かず筋肉に力が入りにくいことで起こります。
もちろんこれで確定ではないので、出来ても出来なくても症状が気になる場合には医師の診察を受けるようにしましょう。

日常生活ではどのようなことに注意すれば良い?

日常生活においては仕事や家事、スポーツによって負担をかけないように注意することが1番重要です。
また、重たいものを持ったり床に手をついて立ち上がる、肘の曲げ伸ばしを繰り返し行うような動きを避けるように注意しましょう。

まとめ

いかがでしょうか?
肘部管症候群という名前にはあまり聞き覚えが無いという方も症状を見てみると実はそうかも・・と思われた方もいらっしゃるかと思います。
そのうち治るかなーと放置していると症状が進行していき、手術が必要な状態にもなりかねません。
心当たりがあるという方は一度、整形外科で診察を受けて見てくださいね。
また、肘部管症候群は整体でも施術が可能です。
気になっているけど病院に行くほどでもないかな・・とお悩みの方は一度ご相談くださいね。